研究課題
基盤研究(C)
資源産業と金融部門を明示的に含むロシア経済の一般均衡モデル作成を目的として研究をおこなった。金融部門モデル化では、ロシア家計貯蓄・消費行動の情報不足を補うためにロシア人研究者と共同でロシア国内2地域計500標本のパイロット・サーベイをおこなった。この調査から数多くの新たな情報が得られ、静態的実物的ロシアCGEモデルの作成が可能となった。ロシア側からも「従来にない情報を得られた」と評価された(研究協力者S-Shashnovのロシア語論文参照)が、ロシア側の組織上、資金上の問題により本研究の資金規模では本格調査の実施は不可能になった。マクロ統計ベースの金融モデル化に重点を移し、2001年資金循環表を推計した、この資金循環表はバランシング処理を前後で数値が大きく変化した。このことは、ロシア公式統計に大規模な情報の欠如、不整合があり、推計資金循環表の信頼性は実際の分析に利用できる水準にないことを意味する。資源産業モデル化では、企業会計情報をもとに石油ガス企業行動をCGEモデルに組込む作業を完了した。このモデルは、石油ガス価格統制の経済的意義の分析などを多くの成果をもたらし、その成果は国内外のレフェリー付学術雑誌などにすでに発表されている。また静態CGEモデル作成方法論についても標準的方法をほぼ確立する成果をあげた。しかし、金融モデル化が完了しなかったため資源産業CGEモデルは静態モデルにとどまった。静態モデルでは本研究の最終目的であるロシアの長期的経済発展の分析をおこなえない。研究助成期間は終了したが、(1)金融部門を大幅に縮小したロシア動態モデル、(2)ロシア推計資金循環表と同等の金融部門を含む日本経済動態モデルの開発を続けている。この継続研究に対して科学研究費補助金は交付されなかったため、研究の進行は遅い。
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