経済発展や途上国経済の分析のためのモデルとしてしばしば用いられるハリス・トダロモデルに環境変数を組み込んで、環境汚染を伴う経済活動が自然環境や失業にどのような影響を及ぼすかを分析した。はじめに1つのベンチマークとして生産要素が労働のみの場合デ分析を行い、その次に本来のハリス・トダロのモデルである固定資本が各部門に存在する経済での汚染削減技術開発や固定賃金制度、あるいは関税政策が途上国の自然環境や失業に及ぼす影響について分析した。汚染技術の改良は環境改善と失業の減少に効果的であること、工業部門の固定賃金制の強化は自然環境の改善に有効であり、汚染削減技術が低い場合には失業の限将に有効であること、工業品輸入への関税の賦課は自然環境の悪化と汚染削減技術が低い場合には失業の増加をもたらすことが明らかとなった。また以上の分析を資本が部門間で移動可能な場合に拡張して行った。 中国を中心とする東アジアの環境問題に日本がどのような戦略的対応を行っていくべきかを考察するため、途上国の環境問題に対応するための先進国からの技術移転戦略について分析し、技術移転が行われる状況について分析した。さらに国家間での汚染発生削減のための国家間交渉戦略についての分析をおこない、削減についいて国家間での合意が得られる条件について分析を行った。
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