研究課題
基盤研究(C)
『ブラックウッズ・マガジン』、『エジンバラ・レビュー』、『ウェストミンスター・レビュー』、『ニュー・マンスリー・マガジン』におけるマルサス人口論に関する記事を分析した。以下のような知見を得た。1 『ブラックウッズ・マガジン』はケインズ経済学の先駆とも言える、トーリー・マクロ・エコノミクスを展開することで、マルサス人口論を批判した。彼らは食糧増加率が人口増加率を上回ると想定することで、食糧供給を引き起こす人口増加を擁護した。また、彼らは賃金基金説を拒否した。彼らの主張は、救貧法による食糧需要の増大が、雇用を増加させるとする結論を生み出すこととなった。2 マルサス本来の人口成長モデルは一部門モデルであったが、『エジンバラ・レビュー』では工業を組み込んだ人口成長を考えており、賃金基金の中には製造品も含めていた。彼らは人口成長経由での製造品需要の側面を協調した。彼らはマルサス人口論を擁護したが、しかし暗黙のうちにマルサス・モデルの修正を行っていたことになる。また、マルサスに先立って農工均衡発展論を含意する見解も存在した。土地改良を楽観的に見て、過剰蓄積を回避する手段として人口の急速な増加を歓迎する記事もある。しかし、穀物法論争以前には、マルサス人口論を明示的に否定することはなかった。3 トーリー系と見なされてきた『ニュー・マンスリー・マガジン』には両義的なマルサス評価が存在する。すなわち、短期的には「傾向法則」としてマルサス人口法則を肯定するが、長期的には情念可変論を展開した。彼らは後に『ウェストミンスター・レビュー』で論じられるマルサス人口論の受容パターンを提示したことになる。
すべて 2004 2003
すべて 雑誌論文 (4件)
マルサス学会年報 14号
ページ: 45-71
The Annual Bulletin of the Malthus Society No,14
ページ: 45-72
社会科学論集(埼玉大学経済学会) 第109号
ページ: 65-81
The Social Science Review No.109