地域経済の振興・発展のために行われる政策のうち、企業誘致やそれに伴う技術移転は地域産業振興を計るうえで効果的である。そのために、新産業創出などの技術がいかに地域に波及あるいは地域から生じ、地域の産業構造を変化させ、地域経済の成長に寄与してきたかを定量的に解明することが、今後の経済発展のために重要である。ところで、日本経済に関する産業構造の変化については、その量的な構造分析、評価などは多くの研究の蓄積が存在し、また、各地の地域経済についての産業構造分析の研究も盛んであるが、技術移転の経済発展への効果を計量的に把握した研究はあまり多くない。 本年度は、そうした点を踏まえて、技術移転が各産業にもたらす経済効果やそれが地域経済に与える影響を検証するためのモデルを作成した。 まず、技術移転や研究開発投資の効果を定量的に把握するために、これまでに収集・整理した工業統計、事業所統計、科学技術研究調査報告書などのデータを基礎にして、回帰分析、時系列分析を行った。そして、近年のITやバイオテクノロジーなどの先端技術による産業の創出ばかりでなく、これまでの技術移転や研究開発投資が産業与えた効果を測定した。また、産業連関分析を用いて、ある産業の技術移転、研究開発投資が他産業に及ぼす効果についても分析した。本研究の成果は、平成17年度、「コミュニティ総合研究」(大分大学コミュニティ総合研究センター機関紙)に掲載を予定している。
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