研究概要 |
本研究は、「市場経済と資本主義:その原理と現代的変異性」をテーマとし、4年間にわたる予定をたてており、本年度はその第2年度にあたる。 年度当初の計画に沿って、本年度はまず、価値論、貨幣論の分野で、最近の欧米における価値の生産価格への転化論についての「新解釈」に関し、検討を加え、その意義を批判的に確かめ、現代的インフレ、デフレの解明への理論的枠組みを再考する作業をすすめた。その成果は英語と日本語との双方でとりまとめ,英語版は8月にアメリカのマウントホリヨーク大学で開かれた国際学会、ならびに10月に武蔵大学で開催された経済理論学会年次大会で発表し、ついで近く英文の論文集に収録され公刊される予定である。日本語版は、『国学院経済学』にまもなく公刊される。また本研究のもう一つの成果である論文「社会主義市場経済の理論的可能性と中国の進路」は2003年4月北京の人民大学で開催された国際会議で報告された後、『東京経大学会誌』に掲載されたるとともに、中国語、ドイツ語に翻訳されて公刊され、2004年9月にドイツで開催される国際学会においても報告を求められている。 本研究の事実上の協力者のC・ラパヴィツァス博士(ロンドン大学)とは本研究全体にわたり意見を交わしつつ、とくに資本主義のもとでの人口法則を再考する問題につき、英語の論文集に寄稿するよう求められ、その内容をまず日本語の論文でとりまとめつつある。また、本研究のテーマに関心の深い日本の専門研究者たちとの研究会も9回開催し、本研究の進行に多大な協力をえている。なお、年度進行中に必要が増大し購入したノートパソコンは研究上の資料・文献の収集、整理、内外の研究者との意見交換、論文の作成に大いに役立てられている。こうして本研究は年度当初の目標をおおむね達成したと考えている。
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