基盤研究Cの初年度に当たる平成14年は以下の研究を行った。第1に、自由化の進展度、国家の過剰・制度構築そして地域統合への参加度合いという3軸で論じることの是非について、自由化の進展を市場形成に置き換えることの是非、その技術的把握方法について検討した。第2に、資本主義多様性論の研究を深めるために、David Coates編集のModel of Capitalism(全三巻)を入手して精読を開始した。また、クラウチ&ストリーク編『現代の資本主義制度』の研究から資本主義制度の多様性、モデル性についての理論的把握の仕方を研究した。コーポラテリズムの基軸概念を導入できないか、検討している。第3に、拙稿の英文ペーパー化を完成して、3月の時点であるが国際学会で報告して、議論した。すでに和文論文と英文論文は大量に増刷して研究者に配布した。2度にわたる学会と研究会でその点についての議論と意見交換を重ねている。第4に、この間3軸理論の研究の派生的産物として2つの研究論文を発表することができた。1つはEUの南東欧政策とバルカンの戦後経済復興政策であり、もうひとつはEU加盟交渉の最終局面についての分析である。第5に、遅れていた海外の研究者との交流については2月17日よりハンガリー訪問して、ハンガリーアカデミー世界経済研究所、経済研究所そしてブダペスト中欧大学を訪問して、研究報告と意見交換を予定している。またチャバとの意見交流も予定している。当初予定していたロンドンにはイラク攻撃の余波が心配されるので今回は見送ることにした。
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