1.東証第1部、第2部上場企業(金融を除く)に対するアンケート調査 東証上場企業約2000社に対して、情報化の進展、情報化投資額、情報通信関連費用、従業員の学歴、教育費用、情報処理能力の水準、組織のフラット化の程度、意思決定の分権化の程度、プロモーションの評価事項、等をアンケート調査により調べた。回答率は約1割であった。 2.有価証券報告書による企業別経営データの整備 回答企業に対する経営データの整備を行った。 3.情報化に伴う企業価値の変化についての分析 12年度の調査データを使って、情報化投資が企業価値(あるいはトービンのQ)を上昇させる効果を推計した。被説明変数を企業価値(株価×発行株式数+金融負債)ないしQとし、説明変数を資本ストック土地、情報関連資本ストック、情報化進展度指標、人的資本指数、組織の分権化指標、従業員数として回帰分析をおこなった。その結果、人的資本指標が高く組織の集権化が進んでいる企業において、企業価値が高いことが明らかとなった。 4.情報化に伴う企業生産性の上昇の分析 12年度調査を使って、情報化が企業の生産性の上昇に与える効果を分析した。情報化が進み人的スキルが高い企業では、企業の生産性が高くなり、情報化が進み意思決定が集権的な企業において、生産性が高くなることが明らかとなった。これを論文にまとめて、研究年報「経済学」に公表した。 5.ITS(国際テレコム学会)での論文発表 上記論文を8月韓国ソウルで開催されたITS学会で発表し、韓国および欧米の研究者と意見交換を行った。 6.中国の企業における情報化の進展の調査 12月に中国杭州の電気通信企業とアパレル企業を訪問し、中国企業の情報化の進展度合いを、アンケート調査項目について聞き取り調査した。中国の情報化と意思決定はわが国より米国に近いことが明らかとなった。
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