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2002 年度 実績報告書

医療・介護サービス需要と供給の計量分析

研究課題

研究課題/領域番号 14530029
研究機関筑波大学

研究代表者

吉田 あつし  筑波大学, 社会工学系, 教授 (60240272)

キーワード医療経済学 / ミクロ経済学 / 計量経済学 / 医療政策 / モラルハザード / ナッシュ均衡 / 医師誘発需要 / シュタッケルベルク均衡
研究概要

本年は、医療サービスの需要と供給に関して、患者の側のモラルハザードと医師の代理者機能を理論的に分析し、健康保険組合のレセプトデータを用いて実証的に分析した。患者と医師との関係は、それぞれの国の保険制度に強く影響されるので、諸外国の理論モデルをそのまま導入することはできない。フリーアクセス制と出来高払い制で特徴づけられる日本の保険制度の下では、患者と医師はゲーム的な状況にあり、患者は通院日数をコントロールし医師は診察日1日あたりの医療費をコントロールすることにより、それぞれの効用を最大化していると考えられる。そのときの均衡は疾病の種類によって異なり、歯科の場合はナッシュ均衡と考えられるが、慢性的な疾病の場合にはシュタッケルベルク均衡と考えられる。実証分析においては、歯科のレセプトと老人保健対象前後のレセプトを用いて、この様な理論モデルの妥当性について分析を行った。歯科については、健康保険組合被保険者の自己負担が2割負担になる97年改正により、通院日数、1日あたりの医療費がどのように変化したかを分析した。その結果、改定の前後1年間で被保険者本人の需要は減少したが家族の需要は変化しなかった一方、1日あたり医療費の期待値にはほとんど変化はなかった。これは、患者の通院日数にほぼ比例的に医師の限界不効用が増加することを意味している。また、老人医療については、定率負担から定額負担になることによって患者の通院確率、1日あたり医療費の分布が右側にシフトしている(通院確率、医療費は大きくなる)ことが確認された。特に後者については、5000円以下が少なくなり7000円から1万円のところが大きく増えていることから、医療費の低い患者に外来総合診療制度を利用していると推測される。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 吉田あつし, 川村顕: "被保険者のモラルハザードと医師の代理者機能:97年自己負担率改定における歯科のケース"筑波大学社会工学系ディスカッション・ペーパー. No.1025. 1-24 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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