モーメント条件が多い場合の経験尤度推定量、一般化モーメント法推定量、exponential tilting estimatorの有限標本での分布をモンテカルロシミュレーションを使って解析をした。 漸近展開を使った理論的な予想では経験尤度推定量、exponential tilting estimatorのバイアスが一般化モーメント法のバイアスよりも小さく、また推定量の分散も小さいと考えられてきた。しかし、実験ではモーメント条件の数が標本数の約12%を超えたあたりから経験尤度推定量、exponential tilting estimatorのバイアスが急激に大きくなり一般化モーメント法のバイアスよりも大きくなることが観測された。また、一般化モーメント法推定量の分散は漸近理論で予想された通りモーメント条件の数が増えるにつれて小さくなっていくが、経験尤度推定量とexponential tilting estimatorの分散はモーメント条件の数が標本数の約12%を超えたあたりから大きくなることが観測された。 この実験の設定ではバイアスコレクションを行った一般化モーメント法推定量がバイアス、分散の両面から一番よい小標本特性を持っていた。
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