研究概要 |
1.母集団の分布を仮定しない検定は,様々なものが考えられている。本研究では,その中の一つである経験尤度比検定を用いて,母平均の検定を行うこと考えた。経験尤度比検定は大標本検定であるため,小標本では、サイズに歪みが生じる。このサイズ是正を行うためにも,様々な修正法が考案されている。ここでは,バートレット修正を用いて,サイズ是正を行うことにした。そして,本研究では,モンテ・カルロ実験によって,t検定,経験尤度比検定,修正済み経験尤度比検定の検出力比較を行った。 2.ノンパラメトリック検定は,撹乱項の分布にかかわらず,適用できることがモンテ・カルロ実験を通して確認することが出来た。しかし,問題点は計算量の多さである。検定にはn!の計算量を必要とする(タダシ,nはサンプル・サイズ)。n=15を越えると,今のコンピュータの計算速度では,あり得るすべての組み合わせを計算するのはほとんど不可能である。ランダム・パーミュテーション(並べ替え)の方法によって,nが大きいときのノンパラメトリック検定について考えた。 3.回帰モデルにAR項が含まれる場合,小標本では,回帰係数のパラメータの推定値にバイアスが生じる。この研究では,撹乱項に正規分布を仮定して,サンプリングの手法を用いてバイアス是正の分析を行った。その結果,バイアスの是正がうまく行われたことが示された。しかし,実際には,撹乱項の分布を特定化することは不可能である。よって,撹乱項に分布の仮定を置かない場合,いかに回帰係数の推定値のバイアスを是正することができるかが,現在考えていることである。ARモデルを単純に最小自乗法によって推定し,得られた残差をリサンプリング(resampling)することによって(いわゆる,ブートストラップ法),この問題を解決できた。
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