回帰分析における楕円分布族に属する確率的説明変数のもたらす効果の測定

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14530036
• 研究機関: 名古屋市立大学
• 研究代表者: 程島 次郎 名古屋市立大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30181514)
• キーワード: 確率的回帰モデル / 楕円分布族 / weak exogeneity / ロバストネス / 資産価格モデル / 非正規分布

研究概要

昨年度に続き、回帰分析で説明変数も確率変数で与えられていない無条件な場合、これを確率的回帰モデルと呼ぶ、を研究した。誤差項と説明変数の同時分布が非正規のときの回帰パラメータの最小2乗推定量の漸近分散のGMM推定量の有界標本特性をシュミュレーションにより調べた。また、ファイナンスでのマーケット・モデルで日本の株価データの情報を用いて同様な研究をおこなった。さらに、マーケット・モデルで収益率の予測(内挿)については、回帰パラメータの最小2乗推定量は誤差項と説明変数の同時分布が非正規分布であっても正規分布の場合と同じ漸近分散を持つことを示した。さらに、1次元のマーケット・モデルでベータの最小2乗推定量は、誤差項と説明変数の同時分布の歪度には依存しないで尖度にのみ依存し、アルファの最小2乗推定量は、同時分布の歪度と尖度の両方に依存することを示した。
また、説明変数が確率変数であるが与えられている場合は、条件付確率的回帰モデルになる。この条件付確率的回帰モデルのパラメータの推測が条件付モデル(条件付尤度関数)で情報を失わずに効率的に行なえる場合を、Engle, Hendry, and Richard(1983)ではweak exogeneityと呼んでいて、同時分布が多次元t分布のときには、weak exogeneityが成立しないと述べている。私は、条件付確率的回帰モデルの回帰パラメータに関しては、多次元t分布およびそれより大きい楕円分布族でweak exogeneityが成立することを、条件付情報行列の回帰パラメータとその他のパラメータに関するblock-daigonalityを使って示した。さらに、条件付確率的回帰モデルのパラメータに関する条件付最尤推定量と同時最尤推定量をSpanos(1994)の研究と関連させて多次元t分布の場合にシミュレーションなどで比較した。

研究成果

• [文献書誌] Jiro Hodoshima: "A finite-sample study of the GMM variance estimators for the stochastic regression model under nonnormality"Discussion papers in Economics, Nagoya City University. 357. 1-30 (2003)
• [文献書誌] Jiro Hodoshima: "A note on the effect of nonnormality on prediction of the market model"Discussion papers in Economics, Nagoya City University. 358. 1-7 (2003)
• [文献書誌] Jiro Hodoshima: "The effect of nonnormality on the market model : quantitative evaluation"Discussion papers in Economics, Nagoya City University. 359. 1-27 (2003)
• [文献書誌] Masakazu Ando, Jiro Hodoshima: "How nonnormality affects the least squares inference of alpha and beta"Discussion papers in Economics, Nagoya City University. 365. 1-10 (2003)
• [文献書誌] Jiro Hodoshima: "On weak exogeneity of the student's t and elliptical linear heteroskedastic models"Discussion papers in Economics, Nagoya City University. 377. 1-16 (2003)
• [文献書誌] Jiro Hodoshima: "Weak exogeneity under nonnormality"Discussion papers in Economics, Nagoya City University. 380. 1-8 (2004)