EUは1992年末の市場統合の完成を経て、「モノ、サービス、金、人」の自由移動を達成し、実質的に「国民経済化」を果たしている。1999年の通貨統合は、One MarketにOne Moneyを導入する形で「国民経済化」を完成するものであった。さらに、東方への拡大をEUは展開し、国民経済的規模を拡大している。 国民経済化の飛躍台である市場統合は各国が持っている国の権限をEU大に拡大するものであり、情報通信産業もその例に漏れず、EU大の自由化を政策的に展開することになる。I「EUのテレコム自由化・情報社会についての政策展開」は膨大な政策文書を網羅して、そのことを跡付けている。テレコム産業はEUではほぼ国家独占であったが、これを民営化し、さらに、EU大の競争を導入した。この結果、新規参入や直接投資による他国への参入が頻発し、国際通信で劇的な価格低下を引き起こした。この局面を明確にしているのがII「EUテレコムの自由化とテレコム産業の再編」である。テレコムの自由化は90年代に入ると情報化社会へと劇的に変化し、EUがこれを政策的に取り組まなければならなかった。情報社会の推進を図り、アメリカとの対抗関係を意識しつつeEuropeの政策を導入した。eEuropeは知的基盤経済社会を形成し、これに相応しい雇用の拡大を目指すものであった。短期的にeEurope2002を策定し、網羅的に情報化社会に政策的に対応するものであった。
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