平成14年度においては、平成14年9月にルーマニア、チェコ、平成15年2月にエストニア、ラトヴィアにおいて当該諸国の競争力の現状、EU加盟に対する問題点等の現地調査、資料収集を行うと共に、その他の中・東欧諸国にかかわる資料収集を行い、基本的な分析を行った。 ルーマニアにおける欧州連合(EU)加盟の基礎となる競争力とこれを向上させるための産業政策に関しては、次のような結論を引き出すことができる。 ・木材・木製品、靴・帽子・傘、金属に輸出競争力があるが、一般に競争力があると見られている衣料については、中高級品は先進国からの輸入により供給され、輸入原料に基づいて低級品の加工・輸出を行っているため、実際にはそれほどの競争力はない。 ・軽工業の中でも加工食品・飲料・タバコ、皮革・毛皮などには輸出競争力はなく、一概に軽工業を振興すると結論付けてしまうことは正しくない。 ・輸出競争力を促進させるための産業政策は、これまで幾度か策定されているものの、その策定方法、優先目標の明確化、目標と手段の区別などに多くの問題がある。 他方、その他の中・東欧諸国については次のような観察結果を得ることができた。 ・2004年内のEU加盟が認められた8ヵ国については、基礎的な意味での機能する市場が存在する。しかしながら、所得水準・技術水準等から見ると現EU加盟国よりも低位にあり、また貿易・経常収支において大幅な赤字を計上しており、競争力向上による輸出促進、外国直接投資(FDI)誘致が必要である。 ・EU加盟が認められなかったルーマニア、ブルガリア、EU加盟未申請の旧ユーゴスラヴィア諸国(クロアチアに関しては、2003年2月に加盟申請書を提出済み)、アルバニアに関しては、機能する市場経済が存在しておらず、また所得・技術水準も低く、今後一層の移行努力が必要である。
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