研究課題
基盤研究(C)
貿易構造の分析を通じて近年の経済のグローバル化の特徴が解明されている。本研究は、2つの部分から構成される。第1の部分は、統計データを用いた貿易構造の分析であり、第2の部分は、現代古典派の視点による貿易理論の確認である。後者の貿易理論の確認作業は、Pasinetti(1973)の垂直的統合概念に基づいているが、以下の貿易分析の分析視点で用いられる「貿易の垂直構造」という定義の根拠を示す役割を担っている。ここでの貿易構造の分析は、従来型の産業分類にくわえて、用途別財分類の視点に基づきおこなわれる。そこでは、2つのレベルから貿易構造の変化に注目する。1つは、素材から完成財に至る財の生産工程間の関係という垂直レベルの貿易構造、もう1つは、それぞれの同じ工程段階の断面図である水平レベル内部の貿易構造である。前者のレベルでは、中間投入財貿易(とりわけ部品)や資本財貿易、そして、完成財(とりわけ消費財)貿易の相対的割合の変化に注目し、後者のレベルでは、それぞれの用途別分類における同品目の双方向貿易と一方向貿易の割合の動向、双方向貿易における垂直貿易の割合の変化に注目する。次に、「貿易の垂直構造」という定義の根拠を示す理論的作業をおこなう。垂直的貿易構造の理論的根拠になるのが、Pasinetti(1973)の垂直的統合概念である。ここでは、資本財は生産要素として賦存量として与えられたものではなく、生産された商品財であると考える。つまり、貿易論のベンチマーク理論の新古典派理論に対して、余剰理論に基づく古典派のアプローチに基づく理論に依拠して貿易論を考えることにする。
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The International Economy Vol.53