アジア経済危機後の現在のASEAN域内経済協力を、様々な面から総合的に明らかにする研究を進めている。具体的には、第1に、アジア経済危機以降のASEAN域内経済協力、とりわけ2002年のAFTA(ASEAN自由貿易地域)確立以降のASEANの域内経済協力を分析することである。 2年目の2003年度は、3年間にまとめる研究の重要な基礎を作った。これまでの研究を更に積み重ね、同時に大きな成果を出してきた。 まずは2003年11月には、アジア政経学会の50周年記念全国大会における共通論題「『地域協力』の政治経済学」で報告をさせて頂いた(「ASEANの域内経済協力:その過程と課題」)。 更に、毎年公刊を続けているASEAN域内経済協力に関する英語論文を、今年度も公刊した。また、1998年に出版した『ASEAN域内経済協力の政治経済学』の増補改訂版を出版する予定である。更に、これまで進めてきた「東アジアの地域協力の政治経済的研究」の共同研究を一層進め、『東アジア共同体の政治経済学』として編集し、ミネルヴァ書房から出版することとなった。これは現在、刊行準備が完了しつつある。 また特筆すべきことには、2003年9月、第3回「福岡アジア国際会議(Asian International Forum in Fukuoka):グローバリゼーションの進展と東アジアの産業」(ポスト・サミット蔵相会議。東アジア11カ国とEUの最有力シンクタンクの代表による会合)の第2部東南アジアの座長を務め、ASEAN・東アジアの産業と地域協力に関する研究を進め、同時に今後の研究のためのネットワークを構築してきた。この会議では第1回より座長を務めているが、第2回会議の成果を編者となり報告書(英語並びに日本語)として刊行した。更に第3回の成果を編者として報告書並びに本(英語並びに日本語)として編集中である。 以上のように、「ポストAFTAの域内経済協力」の研究は、着実に実績を積み重ねてきている。
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