研究概要 |
本研究の目的は、ヨーロッパ諸国において、労働時間の短縮によって失業を減らそうとする「ワークシェアリング」が、どのような労使関係プロセスを通じて実施され、どれほどの雇用効果を上げているのかを、現地での実態調査を通じて明らかにすることである。研究対象国は、1980年代より女性め「パートタイマー化」を進めてきたオランダと、1998年および2000年に「週35時間労働法」を制定してフルタイマー雇用を創出しようとしてきたフランスである。 本研究は3年計画であり、初年度の平成14(2002)年度には、両国の政府や大学を訪ねて、ワークシェアの現状、研究調査の状況、調査対象企業の候補選定などについて討論し、フランスについては既存調査を参照し、現地調査は主にオランダについて行なうこととした。 オランダの経営者・使用者へのヒアリングは、平成14〜15(2002〜03)年度に金融(銀行)、メーカー(食品)、公務(自治体)の3部門で、人事担当者からパートタイマー化の実態や労使関係について行なった。平成15〜16(2003〜04)年度は、労使関係のもう一方の当事者である労働組合及び経営評議会へのヒアリングを実施した。これによりオランダ3部門における労使関係及びワークシェアリングの実態を明らかにすることができた。フランスの週35時間導入のための産業・企業交渉の過程と雇用創出効果については、Commissariat General du Plan (2001), Reduction du temps de travail, La Documentation Francaise.など、多くの政府による評価報告書に基づいて検討を行なった。 ワークシェアの効果や労使関係に関する両国の比較の成果は、研究成果報告書を参照されたい。なお、2003年4月及び04年5月の2回、学内の研究会で研究調査の中間報告を行なっている。
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