本課題研究につき、平成15年度におこなった調査研究の内容はおおむね以下のとおりです。 1.日本企業(海外の日系企業を含む)のNAFTA地域およびAPEC地域における海外事業活動にかかる資料をグローカリズムの観点から収集・整理しました。 2.NAFTA形成の経緯ならびにNAFTA締結3カ国の経済・社会環境に関する資料をアメリカの協力者の支援をえて、収集・整理しました。 3.収集・整理したデータに基づき、日本企業の海外、とりわけNAFTA(北米)におけるネットワークの分析を試みました。 4.分析した内容を精査し、報告書を作成します。 以上の調査研究を進めるなかでえられた新たな知見はおおよそつぎのとおりです。 NAFTAにおいて事業をしている日系企業の事業展開をグローカルな観点から見ると、自動車の場合によく見られるように、販売・輸出面ではアメリカを中心とするNAFTA市場が非常に大きい。同時に、NAFTA形成前後から、日系企業の取引は日系企業以外の相手が増えるとともに、日系企業グループの企業内取引がマーケットとしているのはNAFTAに限定されず、アジア向け、ヨーロッパ向け、さらには日本向けが主要なマーケットとして拡大している。 対照的に、仕入れ・輸入面では、最近においても現地調達が大きな役割を演じている。日系企業の取引はグループ企業内のものがいままでと同様におこなわれている。とくに、日本からの輸入はグループ企業内のものが割合としては増えている。他面、ヨーロッパからの仕入れ・輸入に関しては、グループ企業内のものは大きく減少しており、グループ企業とのつながりに変化が生じていることがわかります。
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