研究課題
基盤研究(C)
1.2000年に実施された「正規化」統計によると、申請時に就労が許可された産業部門は、農業・養鶏業・水産業が47.5%と最も多い。第一次産業部門労働者の不足に対して外国人労働者を雇用して労働力需要を満たす状況がつづいている。2.その背景には、一方でEUのCAP改革による農業予算と補助金の一層の削減があり、他方でスペインが野菜果樹生産のEU内一大拠点になっていることがあげられる。スペインの野菜果樹輸出はアメリカに次ぐ世界第2位であり、オランダをいまや抜いている。しかし生産価格抑制と「新トマト戦争」と呼ばれるモロッコ産農産物との価格・市場競争は、激しい。そこで、生産費に占める比率が48%と最も高い人件費の抑制がはかられる。1ヘクタール当たりの生産者価格も、1975年を100とすると1999年では66にまで低下していることがコスト抑制を後押しする。ここに低賃金であり雇用調整可能な一時雇用外国人労働者の需要が生まれる。3.モロッコ人とアルジェリア人などのマグレブ地域出身の外国人労働者の定住化にともなう労働条件の改善や権利の回復は、皮肉なことに生産コスト押し上げ圧力として働く。その結果として、1991年と2000年の「正規化」統計比較によると、外国人労働者の多国籍化と女性化という多元化傾向がより鮮明となった。アフリカ地域ではマグレブ地域の優勢は不変だが、ナイジェリアやガーナなど西部アフリカが4〜10倍に増加した。アジアでは中国が最多であったがパキスタンも肩を並べた。中南米は主に7カ国のなかでコロンビアが大幅に増え、さらにエクアドルとキューバが加わった。これに加えてポーランド人、ルーマニア人、ウクライナ人などの東欧出身者が大幅に増え、その結果、マグレブ系労働者が雇用現場から「玉突き」式に押し出されて雇用機会を失うケースも見られる。4.外国人労働者の出身国の多元化は日本でもみられ、両国に共通しているが、日本と異なるのは、スペインでは数回の「正規化」政策を実施され、受け入れに「数量割り」制度を設けていることである。
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新世界地理(朝倉書店) 第7巻(未定)
平成16年度欧州における農業環境政策に関する調査分析委託事業報告書((財)食料・農業政策研究センター)
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日本労働社会学会研究会 (口頭発表)
東京都労働相談情報センター主催労働セミナー (口頭発表)
New World Geography(Asakura Shoten) vol.7,unfixed
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