研究課題/領域番号 |
14530073
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
原 伸子 法政大学, 経済学部, 教授 (00136417)
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研究分担者 |
吉村 真子 法政大学, 社会学部, 教授 (80247113)
後藤 浩子 法政大学, 経済学部, 助教授 (40328901)
山本 真鳥 法政大学, 経済学部, 教授 (20174815)
溝口 由己 (財)家計経済研究所, 研究員
山森 亮 東京都立大学, 人文学部, 講師 (90325994)
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キーワード | 福祉国家 / 市場 / 家族 / ジェンダー / シングル・マザー / ローン・マザー / 児童政策 / 脱商品化指標 |
研究概要 |
今年度、10回の研究会を法政大学比較経済研究所の「ジェンダー研究」プロジェクトと連携して開催するとともに、海外聞き取り調査(イギリス、オランダ、アイルランド、中国)と資料収集をおこなった。イギリス、オランダでは、それぞれの国におけるワークフェア政策およびワークシェアリング政策が労働力の女性化にどのような影響を及ぼしているのか、アイルランドでは、急激な経済成長のもとで取り組みが開始されたジェンダー政策の内容について、また中国では、社会科学院のプロジェクトを中心に、市場化と家族政策の関係についての聞き取りを行った。以下、福祉国家とジェンダー政策に関して、いくつかの知見を以下に記す。 エスピン・アンデルセンは、1990年に福祉国家の3つの型を析出した。いわゆる、社会民主主義型、自由主義型、保守主義型である。その後、彼は、1999年の著作において、若干の修正(家族の重視)をおこなったが、脱商品化指標は、依然として彼の比較分析の機軸をなしている。しかし、脱商品化指標というマクロ的指標の不十分性を指摘する意見はジェンダー研究者等から多く出されている。家計のミクロ分析(それぞれの国の家族、とりわけジェンダー差別をまともにうけるシングル・マザーとその子供の状態)や、雇用市場のミクロ分析(女性の職種と男女賃金差別など)によって、比較分析の基準を検討していくことが必要とされている。このことは、実証的には、オランダにおけるワークシェアリングおよびイギリスにおけるワークフェアにおける労働力の女性化のマクロ的「成功」が、ミクロ的には、女性の分断化を内在させるものであり、貧困線以下のシングル・マザーやその子供が増えているという状況をいかに理解するのだろうか、ということにも関わっている。
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