研究課題/領域番号 |
14530076
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
鎌田 繁則 名城大学, 都市情報学部, 教授 (70214509)
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研究分担者 |
赤木 博文 名城大学, 都市情報学部, 助教授 (30254270)
森 徹 名古屋市立大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (60134160)
稲垣 秀夫 四日市大学, 経済学部, 教授 (70159937)
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キーワード | 不完全情報 / 情報の非対称性 / 未利用者 / 介護産業の斜陽化 |
研究概要 |
我々の研究は主に、立ち上がったばかりの介護サービス市場において、1)営利企業を含むサービス基盤の整備が十分に進み、需給がギャップが生じていないのかどうか、そして、2)当初の予想通り提供されたサービスの質は市場の競争原理によって向上したのかどうか、を理論的実証的に探求することであった。これらについて3本のディスカッションペーパーに研究成果をまとめたので、以下に順にその概要を報告する。 まず、1番目のテーマについては、3大都市圏並びに北海道、福岡県、沖縄県を実地調査した結果、通所サービスや訪問入浴、特養(介護福祉施設)など一部のサービスに供給不足が見られるものの、むしろ訪問介護に代表される居宅サービスで計画を大幅に下回る利用状況となった。この原因の1つは要介護認定を受けていながらサービスを全く利用しない未利用者が安定的に発生しているためであると考えられる。論文USM-03-02では北海道空知福祉圏を取り上げ、未利用者の存在がどの程度第1期計画を狂わせたのかを定量的に分析した。 次に、2番目のテーマでは、この未利用者問題を理論的に解明することを試みた。市場メカニズムが前提にしているのは完全競争の世界であるが、要介護者は高齢の障害者であり、いわゆる合理的経済人ではない。つまり、介護サービス市場の消費者は、情報の収集能力やサービスに対する評価能力に劣る面がある。こうした場合、1つに事業者の提供するサービスの質は事業間の競争があるにも係わらず低下する可能性があること(論文USM-03-04)、もう1つは、良質で安価なサービスを求めて市場を探索した要介護者が、最悪の場合、市場から排除され、結果的に未利用者となる可能性があること(論文USM-03-03)、等を理論的かつ実験経済学的に検証した。
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