研究課題/領域番号 |
14530083
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研究機関 | 高知女子大学 |
研究代表者 |
栗田 明良 高知女子大学, 社会福祉学部, 教授 (10072654)
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研究分担者 |
山名 敦子 立正大学, 社会福祉学部, 教授 (70248871)
奥山 正司 東京経済大学, 現代法学部, 教授 (50073036)
鈴木 春子 労働科学研究所, 研究部, 研究員 (20221327)
森田 明 日本農業研究所, 研究員
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キーワード | 介護移住「問題」 / グループホーム / 有料老人ホーム等 / 住所地特例 / 農山村・過疎地域 / 「高齢核なし家族」化 / 高齢者自身の選択 / 住環境の包括的整備 |
研究概要 |
制度撹乱要因としての介護移住問題は、制度設計当初から意識されていた問題である。しかし、それが介護保険の円滑な実施を阻害し兼ねない様相を呈してきたのは、制度定着に向けて「概ね順調」な実施状況が報告されるようになった2002年、「居宅介護サービス」と位置付けられてきた痴呆対応型共同生活介護(グループホーム)と特定施設入所者生活介護(有料老人ホーム等)の利用が急増し、第1号被保険者の保険料が「相当の高水準となる可能性」が危惧されるようになってからである。 特別養護老人ホームへの入所難が顕わになる中で、事実上「施設介護サービス」的機能を担うことになったグループホームと有料老人ホーム等との利用増は、それが往々にして「介護移住」を伴うために地域間の軋轢を激化させ、その解消策の一つとして住所地特例の適用範囲の拡大が市町村等から強く要望されてきたことは周知のとおりである。が、2年に及ぶ制度施行5年目の見直し論議の結果は、「要介護者の住み慣れた地域での生活を支えるため、身近な市町村で提供されることが適当なサービス類型(=地域密着型サービス)の創設」を理由に、住所地特例の適用範囲拡大は見送られようとしている。 しかしながら、3年間にわたって農山村における介護移住「問題」の展開を見据えてきた本調査研究の結論としては、「高齢核なし家族」化の進展に伴って介護移住をめぐる問題も複雑かつ多様な様相を呈しつつある現況を踏まえて、住所地特例の適用範囲の拡大もさりながら、「高齢者自身の選択」と担保する居住環境の包括的な整備方策が再検討されることを期待してやまない。
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