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2004 年度 実績報告書

近代日本における美術品コレクションの形成と崩壊に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 14530086
研究機関埼玉大学

研究代表者

鈴木 邦夫  埼玉大学, 経済学部, 教授 (50132783)

キーワード美術品 / コレクション / 経営者 / 茶道 / 古美術 / 大名 / 財産税 / 美術館
研究概要

前年度に引き続き、旅費を使用して全国の美術館に出張し、所蔵美術品の来歴や関係する旧コレクター(旧所蔵者)を調査した。そして、研究期間の最終年度であるため、つぎのように研究のまとめの作業をおこなった。
(1)平成14年度〜平成16年度に訪問した100館以上の美術館にまとまった形で収蔵されているコレクションに関して、コレクターの生年・没年、主な職業(オーナー経営者、雇われ経営者、サラリーマン、学者など)、コレクションの特徴(茶道具、日本画、洋画、青銅器、日本刀、陶磁器、現代美術など)を明らかにした。戦前に形成された大きなコレクションでは、大株主でもあるオーナー経営者が巨額の所得を原資として、経営者の交際の手段でもあった茶道(抹茶道)関係の美術品=茶道具を収集するという例が主流であることがわかった。戦前では洋画の大コレクションは、大原コレクション、松方コレクションのような例があるが、まだ限られた存在である。
(2)近代日本における6大美術品コレクターのひとり益田孝(三井財閥の雇われ経営者。茶人)に関して分析した。第1は益田孝が美術品購入の資金源泉についてである。1876年から1909年までの賞与・報酬・特別支給の額を明らかにし、それらの合計額が雇われ経営者であるにも関わらず、極めて高額であることを明らかにした。第2に益田孝が最終的に形成した資産を推測するために嗣子の益田太郎の資産(1946年時点)を分析した。益田太郎の資産(2081万円)は日本の資産家の中で第30位という高さにある。株式、土地、預金、美樹品の内容を明らかにした。このうち美術品は800万円で、構成比は38%になっており、他の資産家と比較すると美術品の比率が極めて高い。美術品の総点数は4350点、ほとんどが茶道具である。第3に古美術品の移動の経緯を十一面観音像(国宝)、三十六歌仙絵巻(切断。多くが重要文化財)、宮島釜を経済的要因と絡めて明らかにした。

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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