研究課題
家族を単位にした経営体、とりわけ農民家族経営を、経営・世帯・生活さらにはジェンダーの視点から総合的に検討することは、日本経済史研究の大きな課題であり、その点を本研究では、岩手県を中心にした調査によって考察してきた。科学研究費最終年度の平成17年度は、4年間にわたる調査・研究をとりまとめるために、以下の(1)〜(6)にとりくんできた。(1)戦後の生活記録運動に関係した史料の調査を引き続き岩手県立図書館、北上市立中央図書館で行い、研究発表のための基礎的資料の収集を終えて分析にとりかかった。(2)和賀町(現北上市)は、戦後に生活記録運動・生活改良普及事業が盛んだった地域である。今年度は、生活記録と生活改良普及運動を実践した方々からあらためて聞き取りを行った。(3)1950年代から現在に至るまで和賀町で生活記録と生活改良を実践している後藤農研婦人部について収集した史料の分析をほぼ終了した。(4)戦後の東北農業試験揚において農村生活研究を担った山岸正子の歩みと研究内容について分析を進め、論文を発表した。(5)関連して、戦前の農村女性の出産と労働の関係について、岡山県の労働科学研究所農業労働調査所の調査資料を使った論文を発表した。また、1890年代から1950年代に至る農村女性の農業労働と出産に関する論文を発表した。(6)以上のうち、(1)(2)(3)の調査研究をまとめた研究論文を平成18年度中に発表する予定である。
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20世紀日本の農村と農民(西田美昭, アン・ワズオ編)(東京大学出版会)
ページ: 31-56
女性史学 15号
ページ: 15-36
横浜国立大学経済学会『エコノミア』 第56巻1号
ページ: 89-115