研究課題
基盤研究(C)
戦後西ドイツは「社会的市場経済」体制であり、東ドイツは社会主義計画経済であったといわれるが、本研究はそれらにとどまらない多様な政策体系を規定する方向性を抽出した。とくに西については「社会主義的市場経済」とも呼ばれる経済秩序思考を、東についても実態において計画経済の枠に収まらない政策運営のあり方を検証した。研究代表者の福澤は、社会主義的市場経済に相当する西ドイツの社会民主党の社会政策論がいかに変遷してきたかについての従前からの研究を本研究において完結させ、かつまたそれを新自由主義と関連させつつ、2002年度土地制度史学会大会パネルディスカッション(2)『新自由主義と戦後ヨーロッパ資本主義、(1938年-70年代初頭)』で報告「戦後西ドイツ社会給付改革論争における新自由主義と社会民主主義」を行った。さらに戦後西ドイツ社会給付システムのひとつの画期をなす1957年の年金改革において「社会的市場経済」のみならず、変化を遂げた社会民主主義がいかに作用したかを実証的に明らかにする論文「1957年西ドイツ年金改革と社会民主党」、および社会主義計画経済体制下での市場経済的な社会保険運用に関する論文「戦後ドイツのソ連占領地域およびドイツ民主共和国における社会保険の再編と展開」を執筆・投稿準備中である。研究分担者の石坂は金融・財政政策の観点から1950年代西ドイツにおける景気安定化政策の研究を行い、論文を発表し、また2004年のドイツ資本主義研究会第54回例会において「1950年代ドイツにおける内外不均衡」と題する報告を行った。さらに研究協力者の石井氏により西ドイツ「閉店法」を軸にした社会的市場経済のあり方如何の検討も行われ、また同氏により東ドイツ労働現場の日常世界に関する研究報告「建国初期東ドイツの企業と労働者」が2003年のドイツ資本主義研究会第52回例会において、論文「東ドイツにおける日常生活世界」が2004年に発表された。
すべて 2004 2002
すべて 雑誌論文 (6件)
愛知淑徳大学論集-コミュニケーション学部篇- 第4号
ページ: 1-20
大原社会問題研究所雑誌 第522号
ページ: 51-64
BULLETIN OF AICHI SHUKUTOKU UNIV., FACULTY OF COMMUNICATION STUDIES No.4
THE JOURNAL OF OHARA INSTITUTE FOR SOCIAL RESEARCH No.552
経済科学(名古屋大学紀要) 第50巻1号
THE ECONOMIC SCIENCE (NAGOYA UNIV.) Vol.50-No.1