研究課題
基盤研究(C)
本課題研究の目的は、第二次大戦後の国際通貨・金融システムの展開過程を、国際決済銀行の理論・政策・思想との関連であきらかにすることであった。国際決済銀行は、中央銀行間協力を目的として1930年に創設された国際機関であり、現在にいたるまで、各国の金融政策を調整・立案するフォーラムとして機能している。本研究課題は、この国際決済銀行が所蔵する一次資料にもとづき、第二次大戦後における中央銀行間協力の歴史像をあきらかにし、今日のグローバリゼーションの歴史的前提を、国際関係・国際比較の視点から解明することをこころみた。そこでは、戦前・戦後の国際金融史の諸画期における国際決済銀行の対応-ドイツ賠償問題の処理、世界恐慌への対応、戦後国際通貨体制の構想、欧州域内決済の政策論理、ユーロ・カレンシー市場の展開、ドル・ポンド危機と変動相場制など-が焦点となった。また、国際決済銀行と日本銀行との関係についても検討が加えられた。3ヵ年の研究期間では、以下の成果が獲得された。(1)各国の国際銀行業史の側面から、国際決済銀行、ならびに国際通貨・金融システムの構造を把握することをこころみて、フランスにおける国際銀行業史を回顧し、論点整理をおこなった。(2)国際決済銀行の創設に際して、「金融的ユートピア」と称される経済思想の潮流が関与していたことがあきらかになり、経済思想と国際金融史との関係が展開された。(3)国際決済銀行と日本銀行の関係について、資料収集とインタビュー調査をもとにした知見が得られた。(4)1930年代の恐慌期における各国中央銀行の対応と国際決済銀行の政策が関連していたことが解明され、各国の金融制度改革と国際金融機関との相関が展望された。(5)ユーロ・カレンシー市場の生成、さらにはスワップ取引の活性化という、戦後の国際金融市場に係るイノベーションに際して、国際決済銀行が独自な立場から関与していたことがあきらかになった。(6)固定相場制の制度的危機に際して、国際決済銀行がG10などのフォーラムと連携して対応したことが実証され、変動相場制の歴史的性格が展望されることとなった。
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社会経済史学 (掲載予定)
Socio-Economic History (forthcoming)
経済学史学会年報 45号
ページ: 127-128
Annals of the Society for the History of Economic Thought no.45
日仏経営学会誌 20号
ページ: 52-62
Bulletin de la Societe Franco-Japonaise de Gestion no.20
Research Paper Series, Tokyo Metropolitan University No.29
ページ: 1-20
Research Paper Series, Tokyo Metropolitan University no.29