研究課題/領域番号 |
14530101
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研究機関 | 武蔵野美術大学 |
研究代表者 |
廖 赤陽 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (50308045)
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研究分担者 |
陳 天璽 日本学術振興会, 特別研究員
王 維 香川大学, 経済学部, 助教授 (10322546)
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キーワード | 華僑・華人研究 / 福建(清)幇 / ネットワーク / ローカル / グローバル |
研究概要 |
平成14年度において、主に以下の研究調査を行った。 *国内調査:主な調査地は長崎、岡山。長崎は日本華僑史の発祥地であるが、現在は一軒の華商を除いて、すべて福清華僑である。岡山は15年度の全国福建(清)同郷会の開催地で、新・老華僑社会の融合が注目されている。 *国外調査:調査地はサンフランシスコ、香港。前者は従来広東台山出身者が多いが、近年、福清新移民が目立つ。同地では、カリフォルニア大学バグレイ校の関係研究者と打ち合わせて、研究動向及びフィールドワークの手法について検討した。後者において、史料調査のほか、華人研究情報シンポジウムの参加を兼ねて、中文大学海外華人特蔵部、香港大学アジア研究センター、シンガポール大学中文図書館、曁南大学華僑研究院、福建社会科学院華僑研究所、中国社会科学院華人研究センター、厦門大学歴史学部、オハイオ大学華人資料センターなどの研究者と広く意見を交換し、各地の研究動向と資料収蔵状況を把握した。 以上の調査は15年度における本格的なオーラル・ヒストリ計画の実施のための土台を作り上げた。この調査によって明らかにされた福清幇の全体的な特徴は以下の通りである。 1.各地の福清幇はその地域を跨る強いネットワークを維持しながら、地域に定着する強いローカル性を示した。こうした地方性は日本における「ローカル・イニシアティブ」の一環を支えるものである。 2.福清幇におけるローカル性は、地方の伝統や歴史の文脈のみで捉えきれなく、むしろその地域的ないし世界的なネットワークによって特徴付けられたものである。 3.およそ一世紀以来における国家の抑圧の痕跡は残るものの、福清幇のようなネットワークを通して、国家と従来のアジア地域活力の間に、ローカル及びグローバルの相互作用を触媒に対話する可能性が開かれている。
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