研究課題
基盤研究(C)
20世紀後半における地球化の流れを背景に、同郷・血縁関係などに基づく華僑・華人ネットワークにおける新たな動きが注目されている。なぜ、老華僑は文化・言語などの側面ではすでに完全に日本化されているにもかかわらず、依然として中国人社会を維持しているのか。なぜ、その中でも福清幇の結束力はとりわけ強いのか。なぜ、1980年代以降、世界規模の福清ネットワークは急速に形成され活発に動いているのか。以上の三つの問いに対し、本研究は、地方、国家、社会、市場、組織、ネットワークを交錯する視点で次の研究に取り込んだ。1)日本における福清移民史、2)日本における福清幇の歴史、構造と機能、3)長崎の福清幇と地域社会、4)福清僑郷と福清世界ネットワーク。これによって、日本における福清幇に関する全面的な研究の空白を埋めたといえよう。本研究によって、次のようなことが明らかにされた。1)日本華僑が、華僑から華人へという「標準」ルートを辿らなかった重要な理由のひとつは、戦争の歴史に絡んだ制度と国家の壁の厚さである。2.日常生活が日本化されるなかで、彼らは祭祀や伝統などの非日常を通して、アイデンティティを維持ないし再建しようとしている。3.地域分布の特徴は移住の歴史とビジネス・スタイルによって規定され、さらに、地縁と姻戚という二重の関係によって、ネットワークの広がりと深みを同時に備えた。4.移民先では、伝統の祭りの創造を通して、国境を越えた地域市場ネットワークが作られ、移住地の地方意識に基づく新たなエスニシッティが形成された。5.僑郷における大規模的開発・投資活動を軸に、インドネシア福清財閥主導、日本福清華僑も含めた世界福清ネットワークが急速に形成された。特定の国民国家に保護されないため、安全と利益の保障に対する期待を世界範囲での同郷仮想共同体の拡大に寄せる他ならなかった。
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