今年度は、国債先物の日次データを用いてsemi-strongフォームの効率性仮説のテスト、すなわち、公開情報の影響を調べるイベント・スタディにより効率性の検証を行った。1996年、または97年から02年までの期間において、長期国債先物のボラティリティがマクロ経済変数の予定されているアナウンスや予定されていないニュースの影響をどのように受けているかを、先物の日次データを用いて調べ、市場の効率性をテストした。 平均からの乖離で測ったアクチュアル・ボラティリティと、長期国債先物オプション・データから計算されるインプライド・ボラティリティとをそれぞれ用いて、マクロ指標の発表のうちの予想されない部分、つまりサプライズが利回りの変化に与える影響を計測した。 得られた結果は次のとおりである。いくつかのマクロ指標アナウンスメントの公表時にボラティリティは即時的に反応している。アナウンスメントを予測してアナウンスメント前にボラティリティが大きくなる。予定されているアナウンスメントのみがある日の後のボラティリティの持続期間は、予定されていないニュースがある日の後の持続期間より短く、かつ、ニュースの全くない日の後の持続期間よりも長い。予定されているアナウンスメントのみのボラティリティの持続期間は、予定されていないニュースの後のそれよりも短くない。 このように、得られた結果は一様ではないものの、いずれも市場に非効率性が存在することを示唆している。
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