研究課題/領域番号 |
14530112
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川波 洋一 九州大学, 経済学研究院, 教授 (80150390)
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研究分担者 |
三谷 進 名城大学, 経営学部, 助教授 (50288502)
岩田 健治 九州大学, 大学院・経済学研究院, 助教授 (50261483)
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キーワード | 金融システム / 投資銀行 / IPO / 国際資本移動 / 情報生産 / ナレッジ・ベース・エコノミー / 資本市場 / 知的資産 |
研究概要 |
本年度は、製造業依存の20世紀型経済発展からソフト開発とナレッジ・ベースの経済成長を目指す21世紀型経済への転換のために、金融システムはどのような要件を備えなければならないかについて検討した。これは、先進資本主義国における製造業中心の大企業体制に加えて、新技術の開発力を中心とする小規模企業の設立(起業体制の確立)が目立ってくると、それに応じて金融システムにはどのような変化が起きるか、逆に言うと、製造業が振興経済圏にシフトし、情報・金融・新技術開発などサービス産業が先進国に集積する国際分業が進展してくると、先進国の金融システムは、そうした変化に応じてどのような機構をそのなかに組み込む必要があるのか、という問題でもある。 国際資本移動拡大と情報技術革新という背景の下では、投資銀行による国際的業務展開が国際的IPO業務の活発化という形で展開した。通信手段やマイクロプロセッサーの技術革新によって、欧米の高コスト地域から世界中の低コスト地域へシフトしていかざるをえなかった。片や、1980〜90年代においては、生産性向上のかぎを握る要素は、物的資産から技術や知的資産にシフトしていくという資本主義経済の質的変化が生じた。こうしたナレッジ・ベース・エコノミーの下では、高度な技術とソフト開発力を持った企業とその活動を支援する金融業が重要な意義を持つようになる。しかも、急速なグローバリゼーションの進展下、それは国際的連関を強めながら進展していく。それが、投資銀行の国際的IPO業務である。本研究では、この分野において、米系の投資銀行によるIPO業務が圧倒的競争力を持ち、その原因が巨大な資本市場と投資銀行の洗練された情報生産力を持つという同国特有の金融システムにあることが明らかになった。
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