研究課題/領域番号 |
14530112
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川波 洋一 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (80150390)
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研究分担者 |
三谷 進 名城大学, 経営学部, 助教授 (50288502)
岩田 健治 九州大学, 大学院・経済学研究院, 助教授 (50261483)
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キーワード | 国際資本移動 / アメリカ金融市場 / 貯蓄性資金 / 投資信託 / 機関投資家 / 商業銀行 / 投資銀行 / 商業銀行 |
研究概要 |
今年度は、1990年代以降の国際資本移動の源のひとつであるアメリカ金融市場の変化と特質を、機関投資家の動向に的を絞って検討した。とりわけ、アメリカ国内における投資信託の資金集中と国際的関連の分析に焦点を当てた。その構造的特徴は、投資信託が投資家とのインテーフェイスの部分でのサービスを強化しながら、非金融部門(とりわけ個人部門)の貯蓄性資金を吸収しやすい環境の整備が進められていった点にある。それを代表するメカニズムとして、多様な投資信託の販売を通じてひとつの投資信託グループ内に資金が吸収・滞留され、さらにさまざまな産業部門へ投資されていく機能を持つ「ファンド・ファミリー」を指摘することができる。さらに、90年代における国内的資金形成における特徴として重要なのは、投資信託が投資銀行や商業銀行の主要な機能と連結しながら展開していったことである。商業銀行が投資信託業務に積極的に関与することによって投資信託の持続的成長が可能になった。また、メリルリンチによるCMAの開発に見られるように、投資信託は、投資銀行の機能と結びつくことによる得意な商品設計を可能にしたともいうことができる。さらに、より現金に近い性格を持つMMFのような金融商品の出現によって、貯蓄性資金が投資資金の一種として投資信託機構の中に滞留し、証券投資に活用できるようになったことは、90年代におけるアメリカの金融市場とくに証券市場の活況形成において需要な意味を持っていた。こうした、投資信託に代表される国内的な資金形成と活況が、90年代における国際資本移動拡大の基盤にあったことを明らかにした点で、本年度の研究は、研究課題達成のために重要な進展を示したといえる。
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