研究課題
基盤研究(C)
本研究の重要な課題は、金融グローバル化や情報技術革新のもとで、各国(特に欧州とアメリカ)において金融システムの競争と調和がどのような形で進展しているかを確認することにあった。その結果、欧州では、市場統合による単一EU金融法体系の構築と各種金融指標の高度な収斂、取引所の相互リンクにもかかわらず、域内の金融構造がなお大きく相違しており、またEU金融行政の課題がEU全体の戦略的課題である欧州経済のICT化と新たな成長のために最適な金融インフラの構築にあることを確認することができた。また、アメリカにおいては、アメリカン・スタンダードの世界的波及において、投資銀行機能や情報生産・分析・処理機能、リスクマネジメント機能が重要な意味を持つことを確認することができた。そうした機能が洗練されたかたちで出現している根本原因としては、米国の企業金融機能のなかに収益力をベースに借り手を評価するスキームが導入され、またそれを根拠付ける金融理論が発達してきたという事情が大きかった。今後、このような分析を、アジア・日本にまで広げ、世界経済の三極における比較分析を行うことが必要である。また現在の金融システムの転換の重要な駆動力として企業買収合併運動を通じる金融・産業再編がますます重要な意味を持ってくると思われる。さらには、現代と過去との対比というかたちで、歴史分析の視点を組み込んで、この課題に取り組む必要もある。
すべて 2004 2003 その他
すべて 雑誌論文 (12件)
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The Euro and Financial System in EU(edited by Kenji Iwata)(Nihon-Keizai Hyoronsha)
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Monetary Policy by ECB and the Euro(edited by Soko Tanaka, Hisashi Harui, Seiichi Fujita)