研究課題/領域番号 |
14530116
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
油井 雄二 成城大学, 経済学部, 教授 (70115153)
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研究分担者 |
佐藤 主光 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (50313458)
田近 栄治 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 研究科長 (10179723)
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キーワード | 地方財政 / 地方交付税 / 国庫補助金 / 線形移転制度 / 三位一体の改革 / 介護保険 / 高齢者医療 / 保険者機能 |
研究概要 |
本研究は、わが国の地方財政の抜本的改革に向けて、その歳入、歳出および国と地方の財政調整という三つの側面から検討を行うことを目的としている。具体的には、地方税制のあり方、高齢者医療や介護における地方の役割、財政的規律を高め、かつ地方の活力を高める国と地方の間の財政関係などを取り上げ、それぞれについてわが国の現状に関する理論と実証的な検討を踏まえて、具体的な改革提案を行うことを企図している。 本年度においては、昨年度に引き続き、高齢者介護に関しては介護保険制度の現状分析、問題点の把握をさらに深め、抜本改革に向けてどのような改革が必要なのかを分析した。とくに介護保険財政がもっとも厳しい状況にある沖縄県の現地調査を行い、介護保険制度のもつ根本的な問題、すなわち現行制度における保険者機能の問題を明らかにした。これらの成果は、3本の論文にまとめられている。 国と地方の財政関係については、二つの方向で研究を行った。一つはわが国を対象に、すでに発表した地方交付税制度の改革案を発展させ、国庫補助金制度もあわせて、国から地方への補助金全体を線形移転制度へ改革する案について、シミュレーション分析を行った。この研究成果は、日本財政学会で報告するとともに、成城大学経済学部ワーキングペーパーとして発表した。もう一つは、国と地方の財政関係に関する国際研究である。地方財政は、従来、各国に固有の制度であって国際比較になじまないと考えられていたが、近年は国際研究が盛んになってきた。昨年度に引き続き、今年度も共同研究者の一人が欧州およびカナダへ出張してこの分野の世界的権威と意見交換を重ねるとともに、アジア諸国の地方財政に関するシンポジウムで国と地方の財政関係に関する理論的基礎について基調報告を行い、高い評価を得た。さらに、本研究で蓄積された知見は、今後、発表する論文の中でも生かしていく予定である。
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