当該研究の初年度は、研究の基盤整備と基礎資料の収集に重点をおきながら研究作業を進めた。ナローバンク実現の可能性を探る上では技術的効率性と技術の安全性確保が大きな焦点となり得る。ナローバンクの一形態たり得るところの電子マネー発行機関についても同様である。国内での電子マネー発行機関としてのソニー・ブロードバンド・ソリューションやNTTコミュニケーション、事実上のナローバンクとして機能してきた郵政事業庁、事実上のナローバンク的な機能を持って活動している民間のIYバンク銀行、貨幣・銀行の監督機関として、また究極のナローバンクとも言える日本銀行等でのインタビュー調査を実施。海外では、急速な経済発展とともに電子マネーの普及が注目されるシンガポールと香港で、発行機関ならびに規制監督機関である両金融庁(Monetary Authotiry)にてインタビュー調査を実施した。 以上の研究作業と並行しつつ、(1)預金保険制度と比較した上でのナローバンク制度のメリットを整理し、(2)IYバンクやソニー銀行を含む新規参入ネット銀行の経営実態を分析し、そして(3)金融システムにおけるナローバンク制度の理論的な位置づけを考察した等の著作物を刊行した。
|