研究概要 |
平成15年度は、国際マーケティングの一形態である輸出マーケティングとマルチ・ナショナル・マーケティングの関係、マルチ・ナショナル・マーケティングに関して以下のような作業と中間的とりまとめを行った。 1 データーの収集 日本の民生用電子機器産業における松下電器と三洋電機を中心とするマルチ・ナショナル・マーケティングに関する社史、電波新聞の記事(1980〜95年)米国の業界誌Weekly Home Furnishing, TWICE, Merchandising Weekなどの記事から第2次資料としてデータ化した。また、米国での現地生産と現地マーケティングについて、それぞれ第1回目のインタビューを行い、データ化した。インタビューはそれぞれ各社あたり3回位行う予定であったが、第二次資料の収集とデータ化に多大な時間を要したため、それぞれ1回あたりのインタビューにとどまざるを得なかった。 2 解明されたこと (1)現地に生産拠点である工場を設立することにより、輸出マーケティングの時代と比較して、部品の補充やアフターサービスなどを中心として現地の消費者の信頼が飛躍的に高まった。 (2)現地生産後も、日本の本社からの輸出マーケティングは衰えることなく、依然活発である。 (3)OEM輸出マーケティングは、松下電器の場合は大幅に縮小するが、三洋電機の場合は依然活発に行われている。 (4)グローバル・マーケティングの萌芽が、輸出マーケティング段階に比較してより鮮明に現れる。たとえば、米国を拠点とする工場で生産された製品が、ヨーロッパや日本に輸出されるようになる。 今回は単独論文としては発表出来なかったが、近藤文男著『日本企業の輸出マーケティング』2004年4月(有斐閣)の結章に以上の点を反映させた。
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