今年度は小売部門の検討を集中的に行った。4-6月は、データの収集と並行して理論的検討を行い、「空間的数量競争と上限価格規制」を作成した。この論文は、6月の日本経済学会・春季大会で報告した後に「流通研究」に投稿し、2003年春に発行される第6巻第1号に掲載される予定である。また、次年度に予定している卸売部門の研究の準備として作成した「繊維・アパレルの流通」が「日本経済研究」No.45に掲載された。 7-10月は、収集したデータを用いて実証分析を行い、「我が国の小売店舗密度に関するパネル分析」および「京都における小売店舗の減少について」を作成し、前者を「マーケティング・サイエンス」に投稿した(未だレフリーコメントを受け取っていない)。また後者については、10月の日本経済学会・秋季大会で報告した後に「流通研究」に投稿し、レフリーコメントにしたがい修正したものを再投稿した。この時期には、「繊維・アパレルの流通」を英訳して「The Marketing Channels for Textiles and Apparels」を作成し、The Kyoto University Economic Reviewに掲載するとともに、North Carolina State UniversityのDavid Flath教授との共同論文「Parallel Imports and the Japan Fair Trade Commission」を作成した(この論文はColumbia UniversityのCenter on Japanese Economy and Businessのworking paperになっている)。 11月以降は、同じ分析枠組みを用いて中国の都市別店舗密度に関する実証研究を行い、「中国の小売店舗密度」を作成し、「アジア経済」への投稿を準備している。また、「空間的数量競争と上限価格規制」を理論的に発展させた「建値制と経済厚生」を作成した(この論文は「国民経済雑誌」に掲載予定である)。
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