「成員の流動化に適合した組織とマネジメントに関する実証的研究」の平成15年度の研究実績はつぎのとおりである。 (1)流動化の実態、ならびに組織・マネジメントを把握するため、モデルとなるような国内外の企業等を訪問し、聞き取り調査および資料収集を行った。 (2)関連文献のサーベイを行った。 (3)学会および研究会において、報告を聞き、討論に参加した。 (4)研究結果については、著書ならびに論文の形で発表した(一部は未公刊)。 研究の結果明らかになったことは、概ねつぎのとおりである。 成員の流動化に伴い、組織やマネジメントのパラダイムが、従来のような組織の論理にもとづいた「選別主義」から、市場や社会への適応に重点を置いた「適応主義」へとシフトしつつある。 具体的には、労働力の市場価値や成果の客観的な価値を処遇に反映させるような処遇制度、あるいは顧客の評価が直接本人にフィードバックされるような仕組みの導入などがあげられる。また、組織の形態としては、成員を内部に囲い込むようなシステムにかえて、成員に仕事の場を提供する「インフラ型」のシステムを導入するケースが増えている。 以上の調査結果をふまえ、さらに補足的な調査を続けるとともに、成員の流動化に適合した組織とマネジメントの具体的なモデルづくりに取りかかっている。
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