文献研究会にて、先行研究を概観したところ、製品開発のスピードアップとは、一定の問題量をどの位の時間をかけて解決するかという問題であることがわかった。本研究テーマをこのように再定義した上で、単位時間あたりの問題処理能力に注目することにした。とりわけ、(1)個々人ではなく、組織としての単位時間あたりの処理能力を検討すること、(2)それぞれのプロセスを単純に圧縮するのではなく、トータルに短縮するという発想をもつ、という2点が重視された。 先行研究が示すように、スピードアップにはいくつかの方法がある。それらは、(1)圧縮、(2)前倒し、(3)同時並行処理、などである。ITによるシミュレーション技術、ならびに、ITによるコミュニケーション技術の発達によって、3つの基本的なスピードアッブの方法が高度化した。また、これらの方法の組み合わせ方も、新たな可能性が生まれていることがわかった。 聞き取り調査においては、単位時間あたりの組織の問題解決能力をどのように測定できるのか、ITがどのような形でその能力を高めているのかを、さきの3つのスヒードアップの方法にそって尋ねた。まだ、具体的な質問項目を作るまでの知見には至っていないが、ソフトウェア業界や、ゲーム業界や、医薬業界において、単位時間あたりの組織の問題解決能力が鍵概念になりうることが確認できた。
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