平成14年度は従来の中間業者の業務の調査、中間業者の機能を代行する電子ビジネスの動向調査、および小売業の事業開発の調査に重点を置いた。 問屋や商社などの中間流通業者は従来から流通における「中抜き論」にさらされて来たが、電子ビジネスの隆盛によりその役割の見直しが再度迫られている。そこで、まずは従来の中間業者が果たしてきた役割を整理した。その結果、情報収集・伝達機能、商品選別・品揃え機能、カウンセリング機能など9種類に分類した。 次に、中間業者の機能を代行する電子ビジネスの調査として、eマーケットプレイス、情報仲介、電子流通業の事例を調査した。eマーケットプレイスにおいては中間業者の情報収集・伝達機能、輸送機能、金融機能が重要であることがわかった。情報仲介業ではやはり情報収集・伝達機能が中心である。電子流通業では商品選別・品揃え機能や在庫調整機能、販売促進機能などが重要であり、さらに顧客へ提供するサーピスの質(特に利便性やスピード)も大切な要素であることがわかった。 そして、小売業の事業開発を「小売ミックス・パターンの再構築」ととらえ、中小規模の小売業が成熟時代に適合した事業開発を行うための戦略的示唆を、理論的研究・実証的研究から導出した。また、中小小売業の効果的なマーケティングの方向性として、「中小規模店選考」特性を基準とした消費者セグメンテーションを提案するとともに、実証研究によって「中小規模店選考セグメント」に対する効果的なマーケティング・プログラムを構築した。 来年度は電子中間業者の調査を中心として、市場にどのような付加価値を与えているか、取引の効率向上の程度、新旧業者の競争状況、新業態への移行手順などに取り組んでいく予定である。
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