今年度実施した研究の内容は、基本文献・資料の収集、在宅勤務・SOHOに関するインタビュー調査、海外での研究動向についての調査である。これらの研究成果は以下のとおりである。 1.インタビュー調査の結果からは、以下のような知見が得られた。在宅勤務を実施する場合、上司と部下との信頼関係の構築が重要な要因であることが、これまでの資料等からも明確となった。また、信頼関係構築と公平性とが密接な関係にある。今後はこの関係についても研究を進めたい。SOHOワーカーの場合は、個人としての信頼性を確保する緩やかな仕組みを構築してるいこと、そして、この要因がSOHOの成否と大きく関係していることがわかってきた。今後、SOHOのような新しい就労形態が普及するには、個人の信頼性を証明するメカニズムが必要である。それがどのようなものかについて、今後もう少し明らかにしていきたい。 2.信頼という概念は、文化的な背景を有しており、とくに個人主義文化と集団主義文化において異なる。集団主義文化では、文書化されない非明示的な形態での信頼関係の構築であり、これがテレワークの推進の阻害要因である。こうした特徴が、情報ネットワーク関係が推進する中で、変化していくのか維持されるのかは、今後の日本社会での信頼性獲得を考えた場合重要な課題だということが判明した。 3.海外の研究動向についての調査成果は、これまで情報ネットワーク上での信頼関係についての研究はほとんどなかったものが、最近は、学会でも頻繁に登場していることが判明した。
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