研究初年度の本年は、まず、ドイツ語文献の資料収集、日本における邦文文献の収集の傍ら、過去に収集した文献研究と分析を行い、「ドイツにおける実務教育の実態」及び「ドイツにおける環境保全関連職種人材養成上の実務教育の実態」を重点的に視野に入れた研究を行った。その理由は、ドイツにおいては、いかなる職種養成においても、実務教育が極めて重視されていること、また同時に、そうした実務教育遂行上ドイツにおける各企業による協力体制がきわめて強固に構築されているからである。そうした産学連携による人材養成制度の下で、ドイツにおける環境保全関連職種の養成は、専門性、実務性を大きな特色として機能・運営されているのである。 本年度後半の研究計画であった、ドイツ的人材養成制度の実態研究とその影響・成果の調査のために、2003年1月末より約2週間実施したものが、聞き取り調査を主体とする「環境人材養成における事例調査」である。本調査は、企業、事業所等々において環境保全業務に従事する職業人、企業従業員を対象として行ったもので、その目的は、ドイツにおける教育システムと職業養成システムが現実の企業従業員、職業人の業務遂行上どのように結びついているか、つまり専門教育と職業実務遂行との関わり合いの調査である。特に高等教育での専門性と職業業務遂行上の継続性の強さの調査である。この点に関しては、2003年度において研究発表を予定しているのであるが、現在のところ、企業内での人材養成と修了した高等教育での専門性が必ずしも直接には結びつかないといわれている日本との事例とはかなり異なる、つまり教育段階からの専門性重視のドイツ的姿勢がそのまま確認できる結論を推定できる段階である。
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