第2年度である本年度は、昨年度末実施したドイツでの聞き取り調査の成果である大学修了後の職業人教育、特に社会人継続教育の研究を進めた。1.大学を含めた学校教育における職業教育と同時に就職している職業人を対象とした職業教育が、ドイツでは極めて重要視されている事。2.特に環境保全職種については、「企業において配置・任命が法的に義務つけられている環境管理責任者」の養成が、学校教育よりも継続教育による研修セミナーによって実施されている事。3.環境管理が、連邦制度をとるドイツの政治構造から、環境保全対策の監査、監督が、各州の環境局の主権のもと、実施母体が、各州が分割している地区別(たとえばノルトヴェストファーレン州では12地区)ごとの環境局によって取締りが行われている事。以上の諸点を明らかにすることが出来た。 以上の分析を踏まえて、ドイツでの実際状況と照らし合わせるために、今年度末、2004年2月10日より23日までの2週間の現地調査を実施した。ドイツ。ルール地方の中心、レーバークーゼン市を拠点に、企業の環境保全教育担当部局、環境関連職種養成職業教育施設、ドイツ連邦職業教育研究所、市環境局、州環境局等を対象にインタビュー、聞き取り調査を実施した。 それらの成果は、学術論文「ドイツにおける環境保全分野職種養成における実務教育の比重II」(桜美林大学『桜美林エコノッミクス』第51/52合併号、及び「ドイツの商業教育とインターンシップ」(日本商業教育学会千葉支部『研究論集』2004年3月)において発表した。また、口頭報告としては、日本国際開発学会研究会において「環境保全業務の人材養成日・独比較」(2004年3月)を発表した。今年度は総括的研究を進め、図書の公刊を実現したい。
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