研究課題
基盤研究(C)
本研究では、1970年代から90年代にかけて欧米の組織研究を対象に行われた計量書誌学的アプローチの研究成果を参照し、各年代の日米欧の組織研究の内容、対象、強調点、方法論、価値観、方向性などの地域的特性を明らかにすることを目的としている。すなわち、日米欧(イギリスを含む)の代表的な組織研究雑誌に掲載された論文ならびにそこに所収の引用文献から、国や地域の特異性あるいは類似性を探ろうとするものである。文化・社会が異なる国・地域において、学問のパラダイムや方法論が異なると考えるのは自然のことであろう。そうであれば、わが国の組織研究の方法や内容にも独特の地域性が認められるかもしれない。われわれの先行研究において、欧米の組織論の研究方法は、新しいアプローチの誕生により一定のパラダイムに収斂したり、多様化したりと、収斂と分岐を繰り返していることが明らかとなった。北アメリカでは、3つの研究群に、そしてヨーロッパでは4つの研究群に収斂あるいは統合の方向に進むとともに新しいパラダイムを生み出そうとする方向性もみられる。わが国の組織論研究の代表的学術誌である、組織学会編『組織科学』(白桃書房)の1967年(Vo1.1-1;創刊号)から2003年(Vol.36-3)までに同誌に掲載された全142冊(号)961篇の論文より、主題、著者名、所属機関、キーワード、参考文献ならびに注についての全データをエクセルに入力することから始まった。『組織科学』は、ほとんどが日本人の研究者の論文で編集されており、欧米と比較してかなり地域性が高い。同誌に掲載されている外国人の論文の数が全体に占める割合は、およそ3%程度に過ぎないが、その反面、日本人研究者の外国文献の被引用数/割合は相対的に高いのが特徴である。また、同誌に5回以上執筆した者が、掲載論文の全体の27.0%つまり4分の1強を占めていた。そして、当然のことながら、同誌に論文が掲載された回数と、それが他の研究者によって参考・引用される回数には、高い相関関係がみられた(ρ=0.77)。
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経営論集 65(発表予定)
KEIEI-RONSHOU NO.65, (IN PREPARATION)