研究概要 |
本年度は,9月に韓国におけるブロードバンド化の調査,3月にインドにおけるソフトウェア産業の調査を行った。現地調査は韓国がソウルの情報通信省,IT推進産業界,ソフト企業,インドがデリーのインド工科大学,ソフト企業とバンガロールのソフト企業である。 まず,韓国においては97年以降の金大中政権下で,国家のポリシーによってIT化が強力に推し進められたこと,またPC房などの民間による展開が,さらにそれを支えたことが特徴である。現在は固定系インターネットではDSL回線が主流になっており,移動系インターネットでも第3世代への以降がみられ,世界一のブロードバンド大国といっても過言ではない。 インドにおいては,ハードウエアの輸入とソフトウェアの輸出という新しい貿易パターンにより貿易差額を得て,ソフトウエア産業の勃興という現象が見られている。時差と賃金の相対的低さを利用してオンサイトとオフショアを組み合わせるインターネットを利用したソフトウエアの国際的ビジネスは,それまでの途上国経済が道路や港湾といった社会的インフラが必要条件だったのを無用にしている。 インターネットが米国で生まれ発展したものの,アジア地域において,かなり独自の展開を見せており,技術の伝播過程において,技術発祥国には見られなかった新しい展開が見られている。こうした事象が次の段階でIT革命の国際的展開にとって,より遅れた地域が先進的地域へと変貌するという可能性の知見を我々に与えている。
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