研究概要 |
本研究の独自性は,実証的経営学研究の一分野としての銀行経営論を打ちたて銀行経営の再生という実践的な課題にも取り組もうというととろにある。次のような課題について同時並行的に研究活動を進めた。問題の対象が大きく、又先行研究の殆んどない分野であることから、下記のとおり研究の方法論の確立に始まり資料の収集やネットワークの確立に当初2年間の作業の大半が費やされることになった。 1.欧米の先行研究め調査等-14年、15年の2度にわたり米国に出張し,米銀の経営戦略と組織について文献収集,研究者からのヒアリング、事例研究を進め,米国金融機関中経営的に最も注自を引くシティグループについてその経営成否分析のためのケースをまとめた。 2.基礎となる資料の収集-合併で多くの銀行の名前が消えていく中で,大手銀行の社史を収集し,各銀行の幹部OBが持つ内部資料の組織的収集を開始した。 3.銀行経営者のインタビュー-7回にわたり元大手銀行頭取,副頭取(複数)など旧経営陣のインタビューを行った。 4.他の研究者との協カネツトワーク-同様の研究テーマに興味を持つ複数の研究者と数回にわたり打合せを行い,資料の収集や情報交換での協力体制を作った。 5.研究方法論の確立-バブル期の経営意思決定に焦点を当て,文献調査,参与観察を交えたインタビュー,アンケート調査を組み合わせた経営学的研究手法をまめ,これを学会や研究会で発表した。 これらの調査研究の今後の邦銀再生に示唆する点につき現在取りまとめ中であるが、実践的成果に至るような今後の研究の展開には、他の研究者との協働と大掛かりなインタビューなどの追加的な作業が必要となっている。 この間本研究に関し証券経済学会や組織学会、ワルシャワ経済大学、シカゴデポール大学、シカゴ連銀など学会・セミナー等での発表を行っている。
|