近年の中国自動車産業の動向をまとめ、中国で展開している主な多国籍自動車企業の中国戦略や中国自動車産業のこれまでの設計思想も分析してきた。 また、続いて中国における自動車企業の戦略構築や能力蓄積の成果と問題を検討していった。 まず、一汽や東風のような大手国有自動車企業は、50年代から今日までずっと業界の中核的な地位を占めながら、従来の計画投資の枠組から抜けられないので、市場ニーズの変化に対して速やかに対応できなかった。これに関連して、後発の地方企業や軍需企業の場合、投資決定にいたる時間差を利用して積極的に参入・拡張し、相次いで波状に的に成長していったものの、中央政府の投資政策の制約の下で、得られた資金を少しずつ規模拡大に投入し、雪だるま式で成長せざるを得なかったので、規模の優位性や強い競争力はなかなか形成できなかった。さらに中国の自動車企業における競争力の蓄積は、政府の一貫した競争排除政策、とくに軍需がトラックから乗用車へ移行しはじめた自動車産業成長期にとられた中央政府の厳しい参入制限と競争排除政策によって強く制約された。アーキテクチャの視点から見れば、中国の自動車メーカーは乗用車などのインテグラル型製品に対し未だに弱いため、中国経済のグローバル化とともに、さらなる競争を通じて、中国の自動車メーカーは、自国の巨大かつ多様な市場に対し、健全な産業基盤や豊富な熟練労働者を活用し、優れた外資系企業と提携しながら、競争的に進化していくことも可能であろう。
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