研究概要 |
雑誌『會計』は,平成11年度まで日本会計研究学会の事実上の学会誌とみなされてきた雑誌であり,今日においてもわが国における会計学関係の代表的雑誌である。研究代表者の中野および研究分担者の橋本は,すでに第二次世界大戦前の同誌所収論文を対象として,わが国における会計史研究の動向を分析し発表してきたところである。本年度はこの作業を継続して行い,戦後の文献の読み込みを行った。その際に,分類基準の再検討が迫られ,会計史研究をより限定的に「歴史的な関心を持つ文献」に限定することとした。その結果,すでに行われてきた第二次大戦以前の会計史関連論文についても適切であるかが検討され,その対象の絞り込みが行われた。 その結果,第二次大戦期には約100件,そして戦後昭和期について約400件の会計史関係の論文が存在することが判明した。これらの多くは主としてイギリス,ドイツ,アメリカ,イタリアという欧州の会計文献の検討であるが,時期を経るにつれて日本の会計の歴史も研究対象であることが次第に認識されたこと,会計史研究論文が時代を経るにつれて増加しているということ,但し日本会計史学会発足後は主たる研究報告の場が『會計』から『会計史学会年報』へと変化してきたこと等の一般的な傾向が明らかとなった。科学研究費補助金を申請した当初の期間は終了しているが,今後は日本の会計史研究のヒストリオグラフィーを海外のそれと比較する形で研究を継続する予定である。
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