昭和2・30年代上場廃止会社約200社の沿革データは、札幌を除く各証券取引所の有価証券報告書破棄、各地法務局の法律改正による20年前の閉鎖登記簿の破棄、営業報告書の喪失等により会社の顛末ですら入手困難であった。そこで昭和24年8月から55年12月までの官報(滋賀大学図書館)で「裁判所公示」(破産・整理・和議.・更生)および「会社その他公告」(合併・減資・解散・配当)を全部調査し(滋賀大学図書館、欠号約60号)、かつ、登記簿の閲覧等に傾注した。証券取引所再開時昭和24・5年代に上場した漁業・時計・機械・商社等は、緩やかな上場条件のため財政状態も十分ではなく、不況に弱く短命に終わっている。会社再建と資本不足・不況による赤字累積による倒産がほとんどである。株主総会の解散決議または破産宣告のときは、顛末のみ判明した。しかし、法的な処理を行なわず休眠会社になれば、沿革データの手がかりがない。今後不明会社の閉鎖登記簿の調査を続行していく予定である(特に営業目的の調査)。運輸等の規制産業には倒産がない。全く不明会社は、昭光商事、京都映画、京都缶詰興業、日本食糧産業、日本冷凍製氷、東洋時計、富士時計、山本鉄工、山本車輌、日本写真印刷、興国農機、中部工業等である。昭和2・30年代上場廃止会社は、当時開示制度が未確立のため判明データは資本金、損益、住所、社長名、本店所在地等ぐらいであり、営業所・工場の開設、取扱製品等の事業の内容は不明である。全体の解明については、次年度に行い、最後は不明データベースとして順次機関誌に公表していく予定である。
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