(1)すべてのスピンモデルは、あるアソシエーションスキーム上で構成される(Jaeger-Nomuraの定理)が、知られている主要なスピンモデルは、その殆どが距離正則グラフの上で構成されている。そこで、スピンモデルを持つような距離正則グラフを分類することが焦点となっているが、本年度の研究により、そのような距離正則グラフは、1-homogeneousと呼ばれる強い正則生を持つことを示した。1-homogeneousという概念は、筆者がスピンモデルの研究を始めるよりも以前に、距離正則グラフの交叉図式の研究に伴って導入し、研究を開始した性質であり、その後多くの研究者が研究対象としているものである。スピンモデルを持つ距離正則グラフが1-homogeneousであることが証明されたことにより、その対象が大きく限定され、今後の進展が大いに期待できる。なお、この結果は、すでに10年前に筆者が予想し、提起したものであり、ようやく解決に至ったものである。 (2)スピンモデルの指数は、非対称スピンモデルの構造定理(Jaeger-Nomura)に伴って、筆者とJaegerにより導入された概念である。ここでは、指数が2のスピンモデルについて、Pottsモデルを内部に含むようなものの構造を完全に決定した。このようなものとしては、筆者が構成したHadamardスピンモデルの非対称版が含まれている。この結果により、クラスの数が小さいアソシエーションスキーム上での非対称スピンモデルの分類が可能となった。実際、生田氏によりクラスが7以下のアソシエーションスキーム上のスピンモデルの分類が進行中であり、そこでは、ここでの結果が中心的な役割を果たしている。
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