研究概要 |
年度当初に計画したKZ関手の解析については独自の結果を取るには至らなかった。しかしながら、年初に得られた古典型ヘッケ環の表現型の決定に関する定理について、多くの口頭発表の機会を得るとともに、年度後半ではここ数年来の研究成果についてまとめたサーベイ論文を岩波「数学」より依頼され執筆する(校閲終了掲載予定)、名古屋工業大学において15時間の連続講義を実施するなど、ヘッケ環のモジュラー表現について現在までに得た結果に関する研究発表を行なった。 以下より詳しく古典型ヘッケ環の表現型の決定に関する定理を述べる。(本研究についてはarXivにプレプリントとして公開済みである。) Wを既約とは限らない古典型ワイル群、Pw(x)をWのポアンカレ多項式Fを代数閉体、qをFの元、Hw(q)をWとqから定まるF上定義されたヘッケ環とする。このとき、q【double plus】0,1の仮定のもとに次が成立 定理(1)Hw(q)が有限表現型⇔(x-q)^2がPw(x)を割り切らない。 (2)Hw(q)がtame表現型⇔q=-1【double plus】1で(x+1)^2がちょうどPw(x)を割り切る。
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