研究概要 |
当該研究課題に関する平成14年度の研究実績の概要は次の通りであり,成果は学術雑誌等で発表された. 先ず2次体上の不分岐非アーベル2拡大の存在について考えた.1997年にLemmermeyerが,2次体上の不分岐拡大でQuaternion群をガロア群に持つものが存在するための条件を不定方程式の理論の立場から与えた.今回我々は,代数体の埋め込み問題の立場からの別証明を与えた.この証明はLemmermeyerの証明に比べて非常にシンプルであり,コンピュータによる群の計算が進めば,より位数の大きな群に対しても適用可能である.また,2次体上の不分岐拡大の存在に関するLemmermeyerの予想の反例について数式処理ソフトGAPを用いて検証した. 次に,奇数次巡回体上の不分岐2拡大の存在について考察し次の結果を得た.3次巡回体の類数が偶数ならばその体上不分岐なQuaternion拡大が存在する.また,5次巡回体に関しても類数が偶数ならば不分岐な非アーベル拡大で次数が32の拡大が存在する.これらの結果は,埋めこみ問題の理論とコホモロジー群の計算および自己同型群の計算を合わせて得られる.さらに,類体塔のガロア群の構造に関するFontaine-Mazur-Boston予想の特別な場合が肯定的であることを証明した.
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